空間装飾とは、店舗、商業施設、イベント会場、オフィス、ショーウィンドウなどの空間を、ブランドや企画の目的に合わせて視覚的に演出することです。
単に花や什器を置いて華やかにするだけではなく、来場者の視線、動線、滞在時間、撮影行動、ブランド想起までを含めて設計します。
店舗開発や販促、ブランディングの担当者にとって、空間装飾を外注する目的は「見栄えをよくすること」だけではありません。
新商品の印象を強めたい、施設内の回遊を促したい、季節キャンペーンを記憶に残したい、SNSで自然に投稿される接点を作りたい。こうした事業上の目的を、空間体験として形にするのが空間装飾です。
この記事では、空間装飾の意味、店舗装飾・イベント装飾との違い、企業にもたらす効果、主な種類、費用相場、依頼から納品までの流れを解説します。
ロスフラワー®を活用した空間装飾を行う弊社株式会社RINの事例も紹介しながら、外注前に何を整理すべきかまでわかる内容にまとめました。
空間装飾とは?店舗装飾・イベント装飾との違い
空間装飾とは、空間全体の印象や体験を目的に合わせて設計し、装飾物、花、植物、造作、サイン、照明、グラフィック、映像などを組み合わせて演出することです。
対象は店舗だけに限られません。商業施設の共用部、ショーウィンドウ、ポップアップ会場、展示会ブース、ホテル、オフィス、ショールームなど、生活者や来場者がブランドに触れる場全体が対象になります。
店舗装飾は、空間装飾の中でも店舗や売場を対象にした施策です。入店率、回遊、購買行動、売場理解に関わります。
一方、イベント装飾は、期間限定の催事、展示会、発表会、ポップアップ、キャンペーン会場などで、短い接触時間の中でテーマを伝える施策です。
つまり、空間装飾は店舗装飾やイベント装飾を含む上位概念です。
企業が外注先を探すときは、「どこを飾るか」だけでなく、「誰に、何を感じてもらい、どんな行動につなげたいか」を先に整理すると、依頼先との認識がずれにくくなります。
| 種類 | 対象空間 | 主な目的 | 重視するポイント |
|---|---|---|---|
| 空間装飾 | 店舗、イベント、商業施設、オフィス、ホテルなど | ブランド体験や場の印象を設計する | コンセプト、動線、素材、施工、撤去までの一貫性 |
| 店舗装飾 | 入口、売場、ショーウィンドウ、レジ周辺 | 入店、回遊、購買、季節訴求 | 商品を邪魔しない見せ方と買いやすさ |
| イベント装飾 | 催事、展示会、発表会、ポップアップ | 短期間でテーマや世界観を伝える | 施工スピード、安全性、写真映え、撤収効率 |
空間装飾が企業にもたらす3つの効果
1. 集客効果:足を止める理由を作る
空間装飾の最初の効果は、通行者や来場者の足を止めることです。商業施設や百貨店では、多くの店舗や情報が並ぶため、生活者はすべてを丁寧に見てくれるわけではありません。
遠くから見ても季節やテーマが伝わる色、ボリューム、高さがあると、「少し見てみよう」という入口が生まれます。
集客目的の装飾では、華やかさだけでなく視認性が重要です。
入口前の通行量、照明、周囲の看板、隣接店舗の色、導線上の見え方を踏まえ、どこから見たときに一番印象が立つかを設計します。
2. ブランド想起:言葉にしにくい価値を空間で伝える
空間装飾は、ブランドの抽象的な価値を体験として伝える役割もあります。
上質、自然、サステナブル、祝祭感、地域性、遊び心といった価値は、テキストだけでは伝わりにくいものです。
素材の質感、花の色、余白、照明、香り、撮影背景まで含めて設計すると、来場者はブランドの姿勢を感覚的に受け取れます。
RINのようにロスフラワー®を活用した装飾では、花の美しさだけでなく、廃棄予定だった花に新しい価値を与える背景もブランド体験になります。
サステナブルな取り組みを掲げる企業にとって、ロスフラワー®を活用した装飾は理念を見える形にする接点です。
3. SNS拡散:来場者が投稿したくなる接点を作る
空間装飾は、UGCを生み出すきっかけにもなります。撮影したくなる装飾には、人物と一緒に写りやすい高さ、ブランド名が自然に入る背景、季節感がひと目で伝わる色、通行を妨げない立ち位置があります。SNS拡散を狙う場合は、見た目の強さだけでなく、撮影導線や混雑時の運用も考える必要があります。
ただし、空間装飾は売上や投稿数を保証するものではありません。
効果を高めるには、装飾前後の入場数、来店数、対象商品の売上構成比、SNS投稿、キャンペーン参加数など、目的に合った指標を決めておくことが大切です。
空間装飾の主な種類

空間装飾は、設置場所によって目的や注意点が変わります。
同じ花や植物を使う場合でも、店頭入口、館内共用部、イベントブース、オフィス受付では、求められる機能が異なります。
| 種類 | 目的 | 向いている施策 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 店舗装飾 | 入店・回遊・購買促進 | 入口装飾、売場演出、季節キャンペーン | 商品や通行を邪魔しない設計が必要 |
| ショーウィンドウ装飾 | 通行者への第一印象づくり | 新商品訴求、季節演出、ブランド世界観の表現 | ガラス越しの反射や照明を確認する |
| イベント装飾 | 短期間でテーマを伝える | 展示会、発表会、ポップアップ、催事 | 搬入搬出、安全性、撤収時間を事前に確認する |
| オフィス装飾 | 来客印象・採用広報・社内文化の可視化 | 受付、会議室、ショールーム、周年企画 | 日常運用とメンテナンス性が重要 |
| 商業施設装飾 | 館内回遊・季節感・テナント送客 | 共用部装飾、館内サイン、フォトスポット | 避難導線、施設ルール、施工申請に注意 |
費用相場と料金の決まり方(規模・期間・素材)
空間装飾の費用は、規模、期間、素材、施工条件、企画範囲によって大きく変わります。
小規模な店頭装飾と、商業施設全体のシーズン装飾では、必要な人員、制作物、設営時間、申請、撤去の範囲がまったく異なります。
実務で費用を左右しやすいのは、主に五つです。
第一に、設置面積と装飾ボリューム。
第二に、生花、ドライフラワー、造花、グリーン、造作物、サインなどの素材。
第三に、会期の長さとメンテナンスの有無。
第四に、夜間施工や高所作業、施設申請の有無。
第五に、企画・デザイン・グラフィック・映像・ノベルティまで含めるかどうかです。
| 規模 | 想定例 | 費用を左右する要素 | 依頼前に確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 小規模 | 入口、受付、棚上、レジ横など一部装飾 | 素材量、設置時間、既存什器の活用可否 | サイズ、設置期間、写真、希望イメージ |
| 中規模 | 店舗全体、ポップアップ、ショーウィンドウ | デザイン、制作物、搬入出、スタッフ人数 | 図面、会期、商品導線、施設ルール |
| 大規模 | 商業施設、百貨店、複数フロア、館内装飾 | 施工計画、申請、安全管理、メンテナンス | 目的、予算枠、決裁フロー、撤去後の扱い |
「相場だけを知りたい」という段階でも、依頼先には最低限、設置場所の写真、サイズ、会期、目的、希望素材、予算感を共有すると、見積もりの精度が上がります。
特に生花やロスフラワー®を使う場合は、仕入れ状況や花の状態に合わせて表現を調整するため、早めの相談が向いています。
依頼から納品までの流れ

空間装飾の外注は、問い合わせからすぐ制作に入るわけではありません。
目的、場所、会期、予算、素材、施工条件を確認し、空間に合わせた企画へ落とし込む工程が必要です。
| 工程 | 内容 | 依頼側が用意するとよいもの |
|---|---|---|
| 1. 問い合わせ | 装飾したい場所、時期、目的を共有する | 会期、設置場所、相談したい背景 |
| 2. ヒアリング | ブランド、ターゲット、動線、施設条件を確認する | 写真、図面、ブランド資料、NG表現 |
| 3. 企画提案・見積 | コンセプト、素材、設置イメージ、費用を整理する | 予算感、決裁者、希望納期 |
| 4. 制作 | 装飾物、花材、サイン、必要什器などを準備する | 確認スケジュール、搬入ルール |
| 5. 施工・納品 | 現場で設置し、安全性や見え方を調整する | 立ち会い可否、施設担当者連絡先 |
| 6. 撤去・二次活用 | 会期後に撤去、廃棄、保管、再利用を行う | 撤去日時、再利用希望、廃棄ルール |
RINのように企画・コンセプト立案から空間装飾、ノベルティ企画制作まで対応できる会社に相談すると、装飾単体ではなく、来場者体験全体をつなげて設計しやすくなります。
空間装飾の事例(大丸東京・高島屋・LAFORET 等の自社実績)
空間装飾の依頼先を選ぶときは、事例を見ることが重要です。
写真の美しさだけでなく、どのような目的で、どの場所に、どの素材を使い、来場者に何を感じてもらう設計だったのかを見ると、自社の相談に近い会社か判断しやすくなります。
実際のRINで取り扱った事例を通して、会社選びの判断の基準を見つけてください。
大丸東京店「BLOOM your own」

大丸東京店の春プロモーション「BLOOM your own」で空間演出をRINが担当した事例です。
生産現場で廃棄予定だった2,000本以上のロスフラワー®を活用し、1階ショーウィンドウや館内各所を春らしく彩りました。
全国の3箇所の花農家さんにお声かげさせていただき、今回の装飾実現ができております。
デジタルサイネージで花が店頭に届くまでの背景を伝え、会期中にはロスフラワー®の配布やワークショップも実施されました。
この事例のポイントは、装飾を見る体験だけで終わらせず、ストーリーの発信や花を持ち帰る体験へつなげていることです。
ブランドや施設のメッセージを、空間、映像、ノベルティ、参加体験で立体的に伝えたい企業に参考になります。
ワンストップで百貨店様のプロモーションに関わることで、一貫してロスフラワー®︎の世界観をお伝えすることができます。
空間装飾では、設置だけでなく、会期中のメンテナンス、撤去、廃棄、保管、二次活用まで事前に決めることが大切です。



横浜高島屋「百華祭」

こちらは、横浜高島屋で開催された「百華祭」において、RINが春のプロモーションに合わせた店頭入口のディスプレイ装飾を担当した事例です。
「桜」をテーマに掲げ、ご来店いただいたお客様がお花見のような春の雰囲気を楽しめる空間演出を行いました。
翌年に園芸博覧会を控え、横浜市全体でフラワー装飾への機運が高まるなか、今回のプロモーションもその流れに連動する形で展開されています。
装飾には、榊原薔薇園のバラやShiraishi Flower Farmのストックといった「ロスフラワー®」を活用しました。
店頭入口の装飾には、お客様が入店する前の期待感を高める重要な役割があります。
このように季節のプロモーションと空間装飾を連動させることで、館内に入る前から「今ここを訪れる理由」を視覚的に伝えることが可能です。


東京プリンスホテル
こちらは、約2年にわたり常設装飾を担当している東京プリンスホテル様の事例です。
ホテル等の常設展示では、日常の中で美しさを保つ「運用設計」が求められます。
RINでは、単なるロスフラワー®の活用にとどまらず、以下の視点を取り入れた装飾をご提案しています。
- 資材を含めた徹底的な廃棄削減と、資源の循環
- 企業のトレードマークとして記憶に残る空間デザイン
- ドライフラワーの特性を活かした、季節感の表現
実際に東京プリンスホテル様では、2023年度に展示した球体オブジェを、2024年度の開業60周年記念オブジェの「6」の部分へ再活用しました。
既存の素材を循環させながらも、新鮮な印象を与える空間を実現しています。
「東京プリンスホテル 常設ロスフラワー®装飾」に関する記事はこちら
LAFORET XMAS

LAFORET XMASのようなクリスマス催事では、商業施設全体の祝祭感と回遊を設計することが重要です。
館内に装飾を4箇所、POPUPイベントも期間中1ヶ月以上開催いたしました。
クリスマス装飾は競合施設でも実施されやすいため、単に赤や緑を使うだけでは差別化しにくくなります。
素材の背景やサステナブルなストーリーを加えることで、写真映えだけでなく、施設の姿勢や企画意図も伝えられます。
この施策はWEBメディアにも多く取り上げられ30以上の媒体に掲載、取材いただいたことも大きな広報戦略とも言えます。
UNIQLO TOKYO
こちらは、UNIQLO TOKYOで展開されたウィンドウ装飾のリニューアル事例です(2021年1月実施)。
ユニクロのフラワーショップ「UNIQLO FLOWER」で生じたロスフラワー®(ドライフラワー)をメインに活用し、廃棄予定だったサンプル服へ装飾を施しました。コンセプトは、前回(2020年12月)の展示から引き続き『New Antique』を掲げています。
- 表現の工夫
前回の「シミ」をイメージしたデザインから一新し、今回は服の「ほつれ」に着目。パッチワークで修復するように花が咲く表現にこだわりました。 - 込めたメッセージ
「アイデアを加えて長く使い続けることが、新たな価値を生み出す」という、サステナブルなメッセージを作品に込めています。
アイディアを加えて長く使い続けることが、新たな価値になるということをメッセージとして込めた作品です。
2020年12月3日の装飾についての詳細はこちら
adidas x Marimekko Spring Summer ‘23 Collection

こちらは、「adidas × Marimekko Spring Summer ‘23 Collection」における空間装飾の事例です。
5シーズン目となる本コレクションでは、新たな世代に向けた新鮮なカラーパレットを採用し「体を動かすことによるポジティブな思考と自分らしさ」を表現しています。
アディダスの高機能テクノロジーと、マリメッコのアーカイブプリントが融合した、明るくアクティブなアイテム展開が特徴です。
今回のコラボレーションアイテムには、海岸等で回収されたプラスチック廃棄物を生まれ変わらせた「パーレイ・オーシャン・プラスチック」が使用されています。
RINはこの「環境への配慮・アップサイクル」という姿勢に深く共感し、空間装飾を手掛けました。
■インスタレーションに込めた想い(代表・河島より)

空間装飾の制作においては、コレクションのテーマに合わせて1960年代を彷彿とさせるポップなカラーリングを意識し、色鮮やかなロスフラワー®を活用しています。
「海洋プラスチックのアップサイクル」と「ロスフラワー®のアップサイクル」。
この2つの親和性を掛け合わせ、環境への取り組みを楽しく身近に感じていただけるような空間デザインへと落とし込みました。



装飾会社の選び方
空間装飾会社を選ぶときは、価格だけで比較しないことが大切です。安く制作できることも重要ですが、外注で本当に差が出るのは、目的整理、コンセプト設計、現場条件の読み取り、施工管理、撤去後の扱いです。
特に企業のブランディングや販促に関わる装飾では、次の観点で確認すると失敗を減らせます。
- 自社に近い業種・規模の実績があるか
- 装飾の目的やターゲットをヒアリングしてくれるか
- 素材の選定理由まで説明できるか
- 施工・撤去・メンテナンスまで相談できるか
- SNS投稿やノベルティなど、装飾後の体験まで提案できるか
- サステナブルな文脈を扱う場合、表面的な表現で終わらないか
RINのブランディング事業では、企画・コンセプト立案、クリエイティブ制作、空間装飾および装花、ノベルティ企画制作、イベント実施までを扱っています。
ロスフラワー®を活用した装飾により、花の美しさだけでなく、素材の背景や循環のストーリーをブランド体験として設計できる点が特徴です。
まとめ
空間装飾は、店舗やイベント会場を華やかにするだけの施策ではありません。
来場者の視線を集め、ブランドを記憶に残し、SNS投稿や購買、回遊につながる体験を設計するためのブランディング施策です。
成功させるには、目的、ターゲット、設置場所、会期、素材、予算、施工条件、撤去後の扱いを整理し、外注先と共有することが重要です。
費用は規模や条件によって変わるため、相場だけで判断せず、何を達成したい装飾なのかを先に決めると、提案の精度が上がります。
ロスフラワー®を活用した空間装飾を検討している場合は、装飾の見た目だけでなく、花の背景や二次活用まで含めた企画にすることで、ブランドらしい体験を作りやすくなります。
方向性がまだ固まっていない段階でも、まずは目的や設置条件の整理から相談できます。
FAQ
空間装飾とは何ですか?
空間装飾とは、店舗、商業施設、イベント会場、オフィスなどの空間を、ブランドや企画の目的に合わせて視覚的に演出することです。
花、植物、造作、サイン、照明、映像などを組み合わせ、集客、ブランド想起、回遊、SNS投稿などにつなげます。
空間装飾の費用相場はどのくらいですか?
費用は、設置規模、会期、素材、制作物、施工条件、メンテナンスや撤去の有無によって変わります。
小規模な入口装飾と商業施設全体の装飾では必要な工程が大きく異なるため、設置場所の写真、サイズ、会期、目的、予算感を共有して見積もりを取るのが現実的です。
空間装飾はどのくらい前に相談すべきですか?
小規模な装飾でも、素材手配や制作期間を考えると早めの相談がおすすめです。
商業施設、百貨店、イベント会場などで施工申請や夜間搬入が必要な場合は、企画・見積・制作・施工の期間を見込んで余裕を持って相談すると安心です。
ロスフラワー®を使った装飾はできますか?
可能です。RINでは、廃棄予定だった花をロスフラワー®として活用し、空間装飾や装花、ノベルティ、ワークショップなどに展開しています。
素材の背景を伝えられるため、サステナブルなブランド体験を作りたい企業と相性がよい施策です。
撤去や廃棄物の扱いまで相談できますか?
相談できます。空間装飾では、設置だけでなく、会期中のメンテナンス、撤去、廃棄、保管、二次活用まで事前に決めることが大切です。
ロスフラワー®を使う場合は、装飾後の花をノベルティやワークショップ素材として活用する設計も検討できます。

河島春佳
株式会社RIN 代表取締役 / フラワーサイクリスト®
株式会社RIN代表取締役。廃棄される運命の花に新たな価値を与える「ロスフラワー®」の提唱者。フラワーサイクリスト®として三ツ星ホテルや老舗百貨店の装飾を手がけるほか、著書『おうちでフラワーサイクルアート』(光文社)を出版。主宰する「フラワーサイクルマルシェ」は2023年グッドデザイン賞を受賞。渋谷区観光協会 観光フェローも務め、花のロスを減らし花のある生活を文化にする活動を続けている。

